本記事では安川電機のロボットについて、ロボット業界で10年以上働いている筆者がわかりやすく解説します。この記事を読めば、次のようなことがわかります。
・安川電機の特徴
・安川電機のロボットの種類、導入事例
・安川電機のロボットのシェア
・安川電機のロボットの価格
安川電機は産業用ロボット大手メーカーとして世界的に名が知られている会社で、産業用ロボットの開発力、生産力、販売力において高い実力があります。また、産業用ロボットはグローバル市場が広がっており、成長産業でビジネスをしている会社と言えます。
安川電機のロボットに興味を持った方、安川電機のロボットがどのように活用されているのか知りたい方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。
安川電機について

(出展:https://www.yaskawa.co.jp/company/profile/network)
ここでは、安川電機という会社の特徴について解説します。
福岡県北九州市に本社がある電機メーカー
安川電機は1915年創業の福岡県北九州市に本社がある会社です。創業当初は当時の地方財閥であった安川家の炭鉱会社向けの電気品を製造していました。
創業当時盛んだった炭鉱産業自体はなくなりましたが、その後も自動化・電動化・省エネルギーといった分野での需要を取り込み、2015年に創業100周年を迎えました。現在は、モーションコントロール事業、ロボット事業、システムエンジニアリング事業の3本の柱を収益にしています。
海外売上高比率は約70%のグローバル企業
安川電機の海外売上高比率は約70%で、世界に工場や営業拠点をもつグローバル企業です。海外では、とくに中国の売上高比率が26%と高く、中国の自動化機器の需要の高まりを受けて収益を上げていると言えます。
参照:https://www.yaskawa.co.jp/ir/materials/annual
安川電機は産業用ロボットメーカーBIG4のひとつ
世界の産業用ロボット市場はBIG4と呼ばれているメーカーが大きなシェアを占めています。ABB、ファナック、安川電機、KUKAの4社です。産業用ロボットは、この4社で約50%のシェアを占めていると言われています。
産業用ロボットのBIG4についてや、産業用ロボットの主要メーカー10社については以下の関連記事もご参照ください。
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安川電機のロボットについて
安川電機のロボットはMOTOMANというブランドで販売されており、ロボットアームがコーポレートカラーの青色で塗られていることが外観上の特徴です。
安川電機のロボットの種類
MOTOMANブランドのロボットは、さまざまな種類のロボットがあり、可搬重量も0.5kg~数百kgと幅広いラインアップがあります。ここでは、アーク溶接・スポット溶接・塗装・ハンドリング・パレタイジング・ウエハ搬送・協働ロボットの7つの適用別に、主要な機種をご紹介します。
アーク溶接

(出展:https://www.e-mechatronics.com/product/robot/arc/lineup/ar1440/spec.html)
アーク溶接とは、溶接機の電極と金属の間にアークを発生させ、その熱で金属を溶かし溶接する方法です。
安川電機のアーク溶接ロボットには、MOTOMAN-ARシリーズがあります。形式中の数字は最大リーチを示しており、たとえば形式「MOTOMAN-AR1440」は最大リーチ1440mmです。
スポット溶接

(出展:https://www.e-mechatronics.com/product/robot/spot/lineup/sp225h/spec.html)
スポット溶接とは、スポット溶接ガンで金属同士を挟み、高電圧をかけて金属を溶かして接合する方法です。
安川電機のスポット溶接ロボットには、MOTOMAN-SPシリーズがあります。形式中の数字は可搬重量を示しており、たとえば形式「MOTOMAN-SP225H」は可搬質量225kgです。
塗装

(出展:https://www.e-mechatronics.com/product/robot/paint/lineup/mpx2600/spec.html)
塗装ロボットは、主に自動車のボディ塗装向けで使われています。引火性のある塗料を使うことを想定して、一般的に塗装ロボットは防爆仕様(周囲に引火性の気体があっても、ロボットの動作によって爆発することがない)となっています。
安川電機の塗装ロボットには、MOTOMAN-MPXシリーズがあります。また、自動車のドアの外側・内側を均一に塗装するためにドアを開閉するためのドアオープナーロボットとしてMOTOMAN-MPOシリーズもラインアップされています。
ハンドリング

(出展:https://www.e-mechatronics.com/product/robot/assembly/lineup/gp8/spec.html)
ハンドリングロボットは、ロボットの手先にハンドを付けて、ワークを運ぶロボットです。使用用途や業種は限定されておらず、さまざまな場所で使われることが想定されています。
安川電機のハンドリングロボットには、MOTOMAN-GPシリーズがあります。形式中の数字は可搬重量を示しており、たとえば形式「MOTOMAN-GP8」は可搬質量8kgです。
パレタイジング

(出展:https://www.e-mechatronics.com/product/robot/palletizing/lineup/pl190/spec.html)
パレタイジングロボットは、飲料・食料などが詰まったケースをパレットに積み上げ・積み下ろしする工程で使われています。
安川電機のパレタイジングロボットには、MOTOMAN-PLシリーズがあります。形式中の数字は可搬重量を示しており、たとえば形式「MOTOMAN-PL190」は可搬質量190kgです。安川電機のパレタイジングロボットの可搬重量は80kgから800kgまでで、幅広いラインアップをそろえています。
ウエハ搬送

(出展:https://www.e-mechatronics.com/product/robot/semicon/lineup/mu124_d/spec.html)
ウエハ搬送とは、半導体製造の原料となるシリコンウエハをプロセス室に搬送する工程です。シリコンウエハはプロセス室でさまざまな加工がされ、パソコン・スマホ・家電などに使われるICチップになります。
安川電機のウエハ搬送ロボットには、SEMISTERシリーズがあります。SEMISTERシリーズのロボットは、大気環境だけでなく、真空環境での搬送用ロボットもラインアップされています。
協働ロボット

(出展:https://www.e-mechatronics.com/product/robot/assembly/lineup/hc10/spec.html)
協働ロボットは人と同じ作業スペースで働くことができる新しいコンセプトの産業用ロボットで、その市場は今後5-10年程度も拡大が見込まれています。
参照:https://www.nikkei.com/article/DGXZRSP629216_Y2A320C2000000/
安川電機の協働ロボットには、MOTOMAN-HCシリーズがあります。形式中の数字は可搬重量を示しており、たとえば形式「MOTOMAN-HC10DTP」は可搬質量10kgです。
安川電機のロボットの導入事例
安川電機のロボットは世界各国のさまざまな製造工程で働いており、製造業の自動化・生産効率アップに貢献しています。ここでは、その具体的な導入事例を紹介します。
導入事例① 自動車ボディの溶接
自動車の製造工程は、プレスされた部品を溶接し、ボディを作っていきます。大手自動車メーカーのボディ溶接工程において、安川電機のロボットが使用されています。
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導入事例② ボルト・ねじ締め
ボルト・ねじ締めは機械部品・電子基板などの組立工程で発生します。ロボットがボルト・ねじ締めを行うことで、締め忘れなどの作業ミスを無くすことができます。
下記動画では、安川電機のハンドリングロボット「MOTOMAN-GP7」が電子部品の組立デモにおいてボルト・ねじ締めを行っています。
参照:https://youtu.be/Zcn23805GU4
導入事例③ 加工機へのワーク供給・搬出
部品(ワーク)を加工機にセットし、加工が終わったら部品を取り出す工程です。導入事例としてはマツシマメジャテックにおいて協働ロボット「MOTOMAN-HC10DTハンドキャリータイプ」が活用されています。
ロボットに台車がついて人力で移動させることができるため、日中と夜間で別の加工機でのワーク供給・搬出を行っています。これによりロボットの稼働時間をフルに使うことができ、生産効率化に貢献しています。
参照:https://www.yaskawa.co.jp/applications/matsushima
安川電機のロボットのシェア
安川電機のロボットのグローバル市場シェアは、2021年度で12%と言われています。この数値は、安川電機の推定となります。
参照:https://www.yaskawa.co.jp/wp-content/uploads/2023/03/investors_guide02_0313.pdf
安川電機のロボットの価格
安川電機のロボットの販売価格は、8kg~12kg可搬のもので200万円~300万円程度です。
ただ、これらのロボットは同社の公式ホームページではオープン価格と記載されており、正確な販売価格については販売元に問い合わせが必要です。
ご参考までに、同社のアーク溶接ロボット「MOTOMAN-SSA2000」の販売価格が下記参考URLに記載されています。「MOTOMAN-SSA2000」は2023年現在生産中止されており、2007年とやや古い情報ですので、あくまでご参考としてください。
参考URL:https://www.yaskawa.co.jp/newsrelease/product/8911
協働ロボットの価格については、こちらの記事にも詳しく書いていますのでご参照ください。
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初めて安川電機のロボットを導入する際は、こんな不安もあると思います。そんなときは、Otokogiにご相談ください!安川電機のロボットが使えるSIerのご紹介やロボット導入をサポートさせていただきます。
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安川電機のSIer一覧や、ロボット導入のポイントについて、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ、参考にしてみてください。
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まとめ
この記事では産業用ロボット大手メーカー安川電機のロボットの種類・導入事例、安川電機のロボットのシェア、価格について解説しました。
自動車業界など、さまざまな製造業の自動化に貢献している安川電機のロボット。人協働ロボットなど新しいロボットも取りそろえ、今後も産業用ロボットのリーディングメーカーとして業界をリードしていくと思われます。
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