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圧力センサーとは?仕組み・種類・用途から注意点と対策までわかりやすく解説

圧力センサーが世界を動かしている

製造現場では、わずかな圧力の変化が、命取りになることがある——。
機械の異常停止、バルブの暴発、不良品の大量発生、そして最悪の場合は人的被害にまで発展することも。
こうした“兆候”をいち早く察知し、トラブルを未然に防いでいるのが、圧力センサーです。

エアコンの省エネ制御、クリーンルーム内の圧力管理、医療機器での血圧・呼吸モニタリング、自動車の燃料噴射制御やタイヤ空気圧管理など、
実は圧力センサーは、私たちの身の回りや産業のあらゆる場面で使われています。
しかしその重要性の割に、「種類が多くてよくわからない」「とりあえずで選んで失敗した」「選定や保守の基準が不明確」という声が後を絶ちません。

この記事では、これから圧力センサーの導入を検討している現場担当者・技術者・設備保全の責任者に向けて、
そもそも圧力センサーとは何か?という基礎から、種類別の特徴や構造、実際にどんな用途で使われているのか、
そして導入時に見落とされがちな注意点と対策、さらにはIoTや予知保全との連携、国内外製品の違いまで、
実務で役立つ情報を“理論と現場感”の両面から徹底解説します。

“なんとなく”ではなく、“根拠を持って選ぶ”ための基礎知識を、ぜひ本記事で手に入れてください。


圧力センサーとは?その役割と基本的な仕組み

圧力を検出するとはどういうことか

圧力とは、単位面積あたりにかかる力のことを指します。空気や液体の中にある“押す力”を数値で捉えることができれば、それに応じて装置を制御したり、安全を確保したりすることが可能になります。

たとえば、あるタンクにガスが充填されているとして、その内部圧力が上がりすぎると危険です。そこで圧力センサーを取り付けておけば、異常を検知してバルブを開いたり、アラームを出すといった制御が可能になるため、現場のトラブルを未然に防げます。

つまり、**圧力センサーは「圧力という目に見えないものを、数値として計測するためのセンサー」**です。

圧力センサーの構造と基本原理

圧力センサーの基本的な構造は、次の3要素で構成されます。

  1. 圧力を受け取る部分(ダイアフラムなど)
  2. 圧力の変化を電気信号に変換する素子
  3. 信号を増幅・変換して出力する回路部

この中で、圧力を電気的な変化に変換する仕組みとして、主に以下の原理が使われます。

抵抗式(ピエゾ抵抗型)

圧力が加わると素子が変形し、その変形によって内部の抵抗値が変わる原理。安価かつ構造がシンプルで、汎用的な用途に広く使われています。

静電容量式

ダイアフラムの変形によって2つの電極の距離が変化し、静電容量が変わることで圧力を検出。微小な圧力変化に強く、医療機器などの高精度用途で活躍します。

光学式

圧力によるわずかな変化を光の反射・屈折・遮断で検出する方式。電磁波の影響を受けにくいため、ノイズに弱い環境でも使われます。

これらの方式は、用途や環境によって使い分けられています。

圧力センサーと他センサーの違い

センサーには温度、湿度、加速度、近接など多くの種類がありますが、圧力センサーの最大の特徴は**「密閉空間や流体環境の状態をリアルタイムで数値化できる」**という点です。

たとえば温度や湿度は外気の影響を受けやすく、ある程度の“時間的余裕”があるのに対し、圧力変化は突発的かつ重大なトラブルにつながりやすい特性があります。そのため、即時性と正確性が非常に重視されるセンサーだといえるでしょう。


圧力センサーの種類と特徴

圧力センサーには、対象とする“圧力の基準”や“使用環境”によって複数の種類があります。それぞれの違いを正しく理解しておくことは、選定ミスを防ぎ、安全性や効率の向上にもつながります。

絶対圧センサー(Absolute Pressure Sensor)

絶対圧センサーは、「真空=ゼロ」という絶対的な基準に対して圧力を測定するタイプです。たとえば、大気圧や気圧センサー、エンジンの吸気圧測定などに使われています。

基準が明確であるため、気圧の変化を含めた正確な測定が必要な場面で活用されます。

ゲージ圧センサー(Gauge Pressure Sensor)

ゲージ圧センサーは、「大気圧」を基準に圧力を測るタイプ。私たちが日常的に“空気圧が高い/低い”と感じるのも、このゲージ圧のことです。

タイヤの空気圧や給水管の水圧管理など、人の感覚に近い圧力変化を測るのに適しています。

差圧センサー(Differential Pressure Sensor)

2点間の圧力差を測定するのが差圧センサーです。空調ダクト内の圧力差によるフィルター詰まり検知、液体流量測定などでよく使われます。

圧力差は「流れ」や「詰まり」を検知する上で非常に有効な指標であり、プロセス制御の中枢を担う存在です。

その他の分類:静電容量型・ピエゾ抵抗型・MEMS型

  • 静電容量型:高精度・高感度が特徴で、医療や気圧測定に最適。
  • ピエゾ抵抗型:耐久性と応答速度に優れ、産業機械などで多用。
  • MEMS型(Micro Electro Mechanical Systems):超小型で多機能なセンサー。スマートフォンやウェアラブルデバイスにも搭載されています。

使用環境や制御の要件に応じて、こうした方式の使い分けが求められます。

圧力センサー導入時の注意点とその対策

どんなに高性能な圧力センサーでも、現場の使用環境や管理体制によって性能を発揮できないことがあります。ここでは、導入時に特に注意すべきポイントと対策について解説します。

設置環境における温度・湿度・振動の影響

圧力センサーは、温度変化や湿度、さらには振動や衝撃に弱いタイプもあります。たとえば、振動の激しい製造ラインや屋外での設置では、センサーの信号が乱れたり、早期に故障することも。

 対策ポイント

  • 対象環境に対応した**保護構造(IP規格)**を選ぶ
  • 耐振動設計のある製品を選定
  • 高温・多湿な場所では熱補正回路や防水ハウジングの活用

校正とメンテナンスの重要性

圧力センサーは使い続けるうちに誤差が生じます。これを放置すると、誤ったデータに基づいた制御や判断が行われるリスクが。

 対策ポイント

  • 年1回以上の定期校正をルール化
  • 工場内で対応できない場合は、専門業者にメンテナンス委託
  • 校正履歴のデジタル管理(トレーサビリティ対応)

誤差要因と選定時のポイント

誤差の要因は、センサー自体の精度不足だけではありません。設置場所の圧力波動や流体の特性、配管の形状など、周辺要素の影響も大きいです。

 対策ポイント

  • メーカーの仕様書を精読し、誤差範囲を理解
  • 必要に応じてダンパーやバッファタンクの設置を検討
  • 現場実測→選定の流れを基本とする

寿命や耐久性に関する注意点

圧力センサーにも寿命があります。特に、消耗部品を内蔵する製品や、腐食性流体・高圧環境での使用では、予想より早く劣化が進行することも。

 対策ポイント

  • センサーの耐久回数・推奨使用期間を確認
  • 定期点検時にドリフト(測定ずれ)や応答遅れがないか確認
  • 交換サイクルを事前に見積もり、在庫管理を徹底

圧力センサーの選び方と今後の技術動向

圧力センサーは種類も価格帯も豊富だからこそ、「何となく安いものを選ぶ」では失敗の元です。ここでは、目的に合った選び方と、近年注目の技術動向を紹介します。

使用目的別の選定ポイント

  • 監視用(異常検知のみ) → 安価なゲージ圧センサーで十分な場合も
  • 制御系統への組み込み → 応答性と精度を重視した選定が必要
  • 医療・食品分野 → 小型・高精度・衛生構造が求められる
  • 耐圧・耐腐食 → ステンレス製やフッ素樹脂コーティングタイプを選択

MEMS圧力センサーとは?小型・高精度化がもたらす最新動向

MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術「シリコン基板に圧力検出機構を微細加工で作りこむ技術。安価かつ大量生産が可能」の進化により、超小型ながら高性能な圧力センサーが多数登場しています。これにより、ウェアラブル機器、ドローン、スマート家電などへの応用が急拡大。

今後は“センサーを意識しないセンシング”が主流となり、モノのあらゆる動きがデータ化される社会が訪れようとしています。

IoT対応圧力センサーの選び方と活用メリット

圧力センサーのデータは、単体で見るだけではもったいない。クラウドとつなぎ、遠隔監視・ビッグデータ解析・AIによる異常予測と組み合わせることで、工場や設備の「予知保全」が可能になります。

Otokogi合同会社でも、こうしたIoT×圧力センサーを活用した保全ソリューションの導入支援を行っています。

  • 各種センサーの選定支援
  • データ収集装置・クラウド連携の設計構築
  • 予兆検知に基づくトラブル未然防止の提案

導入から保守運用まで、一貫してお任せいただけます。

海外メーカーと国内メーカーの比較

項目国内メーカー海外メーカー
特徴高品質・高信頼性高機能・低価格
対応日本語マニュアル/サポート体制英語対応中心(サポート難あり)
コストやや高め製品によっては安価な選択肢も

目的や設置環境、サポート体制まで考慮したうえで、**単なる価格比較ではなく“運用トータルコスト”**での判断が重要です。


まとめ|圧力センサーの理解と適切な活用が現場の信頼性を高める

 本記事の要点まとめ

  • 圧力センサーは、「目に見えない圧力」を数値化して制御するための重要なセンシングデバイス
  • 用途に応じて、絶対圧・ゲージ圧・差圧などを使い分ける必要がある
  • 導入時は、設置環境・誤差要因・寿命・メンテナンス体制まで考慮することが重要
  • 今後はIoTやMEMS技術と連携した“スマート保全”の中核として期待が高まっている

とはいえ、センサー選定やIoT連携まで自社内で進めるのは難しい…

そんなときは、現場を熟知した専門家のサポートが効果的です。

Otokogi合同会社は、全国3000人以上の設備技術者ネットワークを活かし、

センサーの選定から設置・保守・データ管理まで一貫対応。

現場課題に即した“止まらないしくみづくり”をお手伝いします。

「まずは相談だけでもOK」です。センサー導入・保全強化の第一歩として、Otokogi合同会社をご活用ください。

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