「自社倉庫の商品を自動で運搬・搬送したいが、どんな方法で自動化できるのかがわからない」
「物流の自動化のためロボットを比較・検討しているが、ロボット導入のポイントを知りたい」
こんな疑問やお悩みをお持ちではないでしょうか?
本記事では次の内容について、ロボット業界で10年以上働いている筆者がわかりやすく解説します。
・物流ロボットにはどんなものがあるのか、何が自動化できるのか
・物流ロボットメーカーはどんな会社があるのか
・物流ロボット導入のポイント
この記事を読めば、物流ロボットの種類とできること、どのようなメーカーがいるのかといった基礎知識がわかります。
また、物流ロボットを導入するにあたり、どんなことに気を付ければ良いのかがわかるようになります。
物流ロボットに興味を持った方、物流ロボットの導入検討中の方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。
物流ロボットとは
物流ロボットとは、物流に関わる「商品の運搬」「仕分け・入出庫」「商品が入った箱のパレタイズ」といった工程を自動化するロボットです。
矢野経済研究所によると、物流ロボットの2021年度の市場規模(事業者売上高ベース)は前年度比127.5%の242.9億円と言われており、ECサイトの普及や物流業界における人手不足の流れを受け、自社の倉庫を効率化・省人化したいという需要が増え、適用が広がっています。
この記事では、物流の自動化シーンでよく使われるロボットを4種類に分けて紹介します。
参照URL
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3184
物流ロボット4種類と機能
物流ロボットの種類(カテゴリー)と、それぞれのロボットが自動化できることを紹介します。
自動倉庫
倉庫全体がロボット化されており、ロボットが商品をピッキングして入出庫を行う物流ロボットです。
3次元ピッキングシステム Skypod(スカイポッド)

(引用元:https://www.okurayusoki.co.jp/skypod/)
Skypod(スカイポッド)は、倉庫内をロボットが縦横無尽に移動し、目的の荷物をピッキングし、入出庫エリアに搬送するロボットです。
人が倉庫から荷物を探す時は、人によって時間にばらつきがあります。
また、在庫管理も人が数えるとカウントミスが発生することがありますが、在庫管理システムを自動化すればロボットが在庫を正確にカウントしてくれます。
商品の搬送をロボットに置き換えることで、次のような効果が期待できます。
・ロボットが最短経路で動き、搬送時間を短縮する
・在庫を正確に管理する
実際の導入事例としては、ファーストリテイリングが自社の物流倉庫に適用し、「入庫生産性は80倍、出庫生産性は19倍に上がったとし、省人化率も90%に達した」という効果を上げています。
(引用元:https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/1810/12/news074_3.html)
Amazon Roboticsの自動倉庫ロボット

(引用元:https://aws.amazon.com/jp/solutions/case-studies/amazon-robotics-case-study/)
Amazon Roboticsの自動倉庫ロボットは、移動ロボットが商品棚をまるごと持ち上げて、作業員のいる受け渡しエリアまで搬送するロボットです。
作業員は倉庫の中の荷物を探し回ることがなくなり、ロボットが必要な商品を最短経路で搬送するため、商品の出し入れ作業が効率化されます。
人間が重量物を棚から積み上げ・積み下ろしをする必要がなくなるので、作業員の肉体的な負担も軽減できるのもメリットです。
AGV(無人搬送車)

(引用元:https://www.meidensha.co.jp/products/logistics/prod_01/prod_01_01/index.html)
AGV(Automated Guided Vehicle)とは、無人で搬送・運搬をする移動ロボットです。
床に磁気テープを敷いて、その経路上をロボットが走ります。
決まった経路上しか走れないという特性はありますが、その分導入はしやすく、さまざまな工場で部品の搬送用ロボットとして用いられています。
AGVは物流現場においても、決まった経路を往復するような搬送工程において活用できます。
AMR(自律走行型ロボット)

(引用元:https://www.fa.omron.co.jp/products/family/3664/)
AMR(Autonomous Mobile Robot)とは、自分で走行経路を判断して搬送・運搬をする移動ロボットです。
AMRは人間と協働で作業します。倉庫の商品を人間がAMRに乗せ、AMRが出庫エリアやパッキングエリアに商品を搬送します。
ロボットが搬送作業をすることで、人間の作業員は商品のピッキング回数を増やすことができ、倉庫の生産性向上が期待されています。
AGVとAMRの違い
AGVはあらかじめ敷かれた磁気テープの上しか走れませんが、AMRは倉庫内の任意の経路をロボット自身が判断し、移動することができます。
AGVは導入・運用が比較的容易で、機能面ではAMRがいろいろなことができると言えます。
それぞれに優位な点があるので、自社の自動化したい工程によってどちらを導入するかを検討しましょう。
搬送ロボットアーム

(引用元:https://www.mujin.co.jp/solution/distribution/tokubai/)
垂直多関節ロボットを用いて、荷物をピッキングする工程を自動化することができます。
例えば、コンベヤで流れてきた段ボール箱をパレットに積み上げる工程をロボットで自動化する事例があります。
ロボットの目となるカメラで荷物を認識し、大きさの違う荷物でもきれいに積み上げることができます。
参照URL
https://www.mujin.co.jp/news/7152
物流ロボットのメーカー11選
ここでは、物流ロボットのメーカーを紹介します。
物流ロボットメーカーと言っても、製品ごとに主要プレイヤーは異なります。
自動倉庫のメーカー
AutoStore
AutoStoreはノルウェーの自動倉庫システムメーカーです。
倉庫一杯にコンテナを敷き詰め、移動ロボットが天井からコンテナを取り出す仕組みになっています。
日本では岡村製作所が正規販売店となっています。
Exotec
Exotecはフランスのロボットメーカーで、3次元ピッキングシステムSkypodの製造元です。
日本ではIHIとオークラ輸送機がインテグレータ―パートナーとなって、Exotecのロボットの販売・導入支援をしています。
Amazon Robotics
Amazon Roboticsは自動倉庫ロボットを手掛けるアマゾンの子会社です。
もともとはKiva Systemsというロボットメーカーをアマゾンが2012年に買収、完全子会社化しました。
筆者もアマゾンのフルフィルメントセンターで自動倉庫ロボットを見学させていただく機会がありました。ロボットが休みなく作業員のいるエリアに商品を運んでおり、荷物をつぎつぎと受け渡していました。アマゾンで注文すると次の日に商品が届く便利さは、このロボットのおかげでもあることを実感しました。
ダイフク
ダイフクは「シャトルラックM」「ファインストッカー」などの商品名で自動倉庫を手掛けている国内メーカーです。台車とコンベヤを組み合わせて、荷物の入出庫を素早く行います。
AGV(無人搬送車)のメーカー
Swisslog
SwisslogはスイスのAGV世界最大手メーカーで、産業用ロボット大手KUKAの子会社です。
ギークプラス
ギークプラスは中国の北京ギークプラステクノロジーカンパニーリミテッドと日本資本のジョイントベンチャーです。搬送ロボットEVEというAGVで、近年急速に存在感が増しているメーカーです。
明電舎
明電舎のAGVは台車形、全面低床形、フォークリフト形などの種類があります。物流分野では、保管倉庫からのパレットの出庫に明電舎のAGVが活用されています。
AMR(自律走行型ロボット)のメーカー
オムロン
オムロンはPLCや産業用センサーメーカーですが、近年はロボット事業にも力を入れています。オムロンのAMR「LD/HDシリーズ」は、障害物や人を自動で避けて目的地に向かい、工場のレイアウト変更もマップを自力で生成してすぐに対応できる特徴があります。
ラピュタロボティクス
ラピュタロボティクスは、複数台のロボットをクラウド上で制御する技術を持ったスタートアップ企業です。ラピュタロボティクスのAMRの導入事例として、「事務用品通販大手のアスクルなど8社が導入し、生産性は2倍以上に高まった」という効果を上げているそうです。
(引用元:https://www.youtube.com/watch?v=Yb9BcHWWJt8)
搬送ロボットアームのメーカー
ファナック
ファナックは、産業用ロボット最大手のメーカーです。垂直多関節ロボット以外にも、さまざまな種類のロボットを扱っています。垂直多関節ロボットは、日本のメーカーが大きなシェアを握り、得意とする製品の一つです。
Mujin
Mujinは垂直多関節ロボットを使って物流現場の作業を自動化するシステムを製造・販売するメーカーです。ロボットを知能化する独自のコントローラーを用いることで、従来必要だったティーチング(ロボットのプログラミング)なしでロボットを動かすことができます。これまでは難しかった物流現場の荷物の搬送が自動化できるようになり、物流分野でのロボットの普及のきっかけを作ったメーカーと言えます。
物流ロボットを導入するときのポイント

導入の際に気を付けるポイントは、以下の通りです。
・目的をはっきりとさせておく
・価格・導入費用と効果が見合うか確認する
・ロボットに関する情報収集を行う
・自社の倉庫管理システムの洗い出しをする
・「提案依頼書(RFP)」の原案を作成しておく
・導入を依頼する会社を選ぶ
物流ロボットの導入はOrokogi合同会社にお任せください!
「導入したい物流ロボットはなんとなくわかったけど、自社のシステムが連携できるかわからない」
「SIerとのつながりがなく、どのSIerを選べばよいかわからない」
初めて物流ロボットを導入する際は、こんな不安もあると思います。
Otokogi合同会社では物流ロボットの導入支援を行っていますので、ぜひご相談ください!
まとめ
この記事では「物流ロボットの種類、物流ロボットメーカー、物流ロボット導入のポイント」を解説しました。物流現場の人手不足、EC取引の増加といった物流業界をとりまく昨今の情勢を加味すると、物流ロボットの市場はさらに拡大していくことが予測されます。
今後は、展示会で物流ロボットのデモンストレーションが多く見られたり、物流ロボットのベンチャー企業が新しい製品を出したりなどの動きが加速すると思われます。
また、物流ロボットのリースやサブスクなど、ロボットユーザーさんが導入しやすい形態も広がると筆者は予想しています。
物流ロボットを導入したいが自社だけで進めるのに不安があれば、ぜひOtokogi合同会社にご相談ください。
SIerのご紹介やロボット導入をサポートさせていただきます。